米子不動氷瀑群(アイスクライミング)

こんにちは。今期2度目のアイスクライミングに行ってきました!
今年は寒気が続いているおかげか、雪も氷も絶好調。ここ数年で一番遊べる冬になってます。

今回訪れた米子大瀑布はその昔、硫黄の高山採掘場として使われていた峡谷です。夏は奥の駐車場まで入れる観光地ですが、冬は除雪されていないため駐車場まで徒歩4時間くらいかかります(片道)。

アイスクライマー憧れの大氷瀑が何本もありますが、アプローチの遠さと氷瀑の大きさ、難しさもあってか八ヶ岳ほど訪れる人はいない上級者向けのアイスゲレンデ。
そんな国内最難レベルの米子ですが、私の場合ベースの妙高から麓のコンビニまで1時間で到着するというお手軽さ。
今回はスキーという強力なアイテムがあるので使ってみる事にしました。

米子不動水神様に車を停め、スキーを装着して歩きます。すぐに車止めのゲートがありますが、ここから先には絶対に車を入れないでください。

現在は「株式会社マウンテンワークス」が氷瀑見学ツアーで雪上車を入れているようです。
8年前に一度登りに来た事がありますが、その時に比べると少し歩きやすくなっています。

今回は友人の伝手でマウンテンワークスさんが経営する根子岳山荘に泊まらせていただく事になりました。
情報があまりないので過剰装備になりましたが、頑張って歩きます。

相方の他に東京や新潟の友人が来ており、8名の大所帯でした。スキーは我々だけで、他はスノーシュー。往路の時間はそんな変わらないので、好きな方でいい気はします。
現地で更に別の友人とも再会。登りに来る人達はほとんど顔見知り。

途中、最終日に登る予定の滝を偵察してから駐車場まで。ここから先は急な登山道になるのでスキーはデポしていきました。登山靴に履き替えて1時間程歩くと、沢沿いに滝が見えてきます。
展望台の台地から対岸に登攀中の友人が見えます。こちらは「正露丸(Ⅵ)」です。当然ブッ立ってて滅茶苦茶難しい。

そして到着しました「奇妙の滝」。
グレードはⅤ-なので、八ヶ岳の南沢大滝よりちょっと難しい感じです。全体的に見ると傾斜は緩いものの、バーティカル部分が多くクライマーの数も少ないので難易度高め。
ちなみに米子の中ではコレでも簡単な方です。とりあえずリードさせて貰います。今季2回目、1ヶ月ぶりのアイス。登れるかな?

氷は固すぎず柔らかすぎず、登りやすい。スクリューの刺さりもいい感じでした。
ただ、体が鈍ってますね…持久力がなく、バーティカルを全て超えた所で力尽きアックステンション。慣らしとしてはまずまずです。
リード&フォローで登り、この日は山荘に帰りました。
既に真っ暗。登り始めたのが15時だし、仕方ないです。

2日目。たかが1本登っただけですが、筋肉痛とアプローチの疲れ。完全にトレーニング不足でした。
東京から来ている土日組は昼には下山したいらしいので本命を登りに行くそうですが、我々は月曜日も休み。奇妙の滝の隣にある「十八幅滝」を登りに行きました。

こちらもグレードはⅤ-で、米子では簡単な方。相方がリードしてみたいと話してるので、行って貰います。リード経験は南沢大滝の一番簡単な所らしいが、大丈夫だろうか。

一番寝てる所を攻める。スクリュー10本持っていきましたが、使いすぎて最後はランナウト。灌木でピッチを切って、頑張ってました。
私が2ピッチ目をリードして終了。バーチを攻めたのでなかなかの強度でしたが弱点が多く、快適でした。

昼からどうしようかと思いましたが、予報に反して大雪。この台地は鉱山跡だったようで、左岸の氷瀑を一望できる絶景スポットです。右から「百草丸」「正露丸」「カチカチ山」「黒滝」「不動滝」「権現滝」。なお「不動滝」と「権現滝」は御神体なので登攀禁止です。
昼から黒滝に登りに行こうと思いましたが、この日は1本のみ。
今回の目的は登攀の他にもあったので、そちらを済ませて翌日ガッツリ登ることにしました。

3日目。朝食後すぐに駐車場でスキーを回収し、今回の最終目標に向かいました。
大沢の右俣を詰めると現れる大氷瀑、「どぜうの詩」です。
全長70M2P、グレードⅥの高難度氷瀑。天に向かって真っすぐ伸びた氷は、美しさだけではなく凄まじい威圧感を放っています。
8年前は全てフォローで登らせてもらいましたが、今回はリード。緊張します。

まずは左から取り付き、湿気った氷を登っていきます。足場もありよくアックスが刺さる。プロテクションは弱いので慎重に。

この日は気温が高く、水が滴っていました。ビッチョビチョになりながらトラバースし、マッシュにフッキングしながら右上。ここから傾斜が立ち、約30Mのバーチが始まります。
2日でアイスの感覚を思い出したつもりでしたが、コレはキツイ。手足の負荷が凄まじく、レストしてもまたパンプする。弱点を探しながら、左右に動いてひたすら登る。
登攀前はビビってましたが、意外と素直なラインで行けるんじゃないか。

と思った矢先、右に刺した氷が剥がれてフォール。リーシュが切れ、アックスが顔面に当たってそのまま落下していきました。
3Mくらい落ちたでしょうか。アイスのリードでフォールしたのは初めてかもしれない。幸い傷は軽傷でしたが、ちょっと歯が欠けました。

さて、どうしたものか。アックスがないと撤退するしかありませんが、ダブルロープなので何とかなりそう。1本を垂らし、ロープ先にアックスをつけてもらって回収しました。
よし、これでまた登れる。

フォールして精神的に弱ってましたが、まだ10Mちょっとあります。
上を見るとヤバいツララが下がっており、ここを左上に抜けます。氷の形も悪くなり、下手に叩くとまた氷が割れるので一撃で叩きます。
最後はハングを全力で超え、トップアウトできました。ここがマジでキツかった。

ではスクリューで支点を取り、フォローを引き上げます。
ガチ落ちする事がないフォローとはいえ、落氷などの危険もゼロではない。経験したことがない高難度の氷瀑に、四苦八苦しているようです。
足下から叫び声と唸り声が聞こえてきます。
それにしても凄い高度感。

ひとまず氷室のテラスに着き、1ピッチ目終了です。たかが氷瀑1本なのに、ここまで3時間かかりました。
次は2P目、20Mの氷壁です。氷が固くなり登りにくいですが、ラインが真っすぐなので登りやすい。ここも傾斜が強いものの、1P目に比べると遥かにマシです。
無事トップアウト。

トップからの眺めは素晴らしいものでした。この氷瀑を登り切った達成感は、言葉では表せない。
抱き合って喜びたい所ですが、実はまだ終わってません。
この氷瀑、下山もなかなかヤバい。
まずは灌木にスリングを巻き、20M懸垂下降でテラスまで降ります。

トポには残置ハーケンがあるとの事ですが、既に抜けたのか氷に埋まったのか知りませんが、そんな物はありません。
という訳でアイスの必需スキル、アバラコフを使います。アバラコフとは氷にスクリューで穴を空け、そこにスリングをかけて懸垂するものです。
これまで登ってきた氷なので強度は十分と思われますが、崩壊すれば50M下の地面に落下。確実にミンチになるでしょう。

幸いにも前日のパーティが使ったものが残置されてました。
大丈夫なのかと思いますが、少なくともこのスリングは人2人を既に降ろした実績があります。
(たぶん)大丈夫です。
一応1人目が降りるときはスクリューでバックアップを取っておきます。1人が降りれたら、(たぶん)2人目も問題ないです。

15:30、無事地上に戻ってきました。改めて見上げると、その滝は相変わらずの威圧感を放っていました。コレを登り切った。胸の内には満足感だけが残っていました。
途中テンションはかけたものの、心の内には熱い気持ちがありました。

すぐ下のテント場にデポした荷物を回収し、すぐに出発。
スキーなので下りは楽ですが登り返しもあり、地味にきつい。ギリギリ日没までには降りてこれました。

下山後、地元の温泉施設「湯っくらんど」で汗を流し、夕食。
命がけの登攀をしたあとの温泉と食事は格別でした。このために山に行くのかもしれない。
安心したら、また米子に行きたくなりました。


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