最上川 松川(下部)

梅花皮沢が満足の遡行内容だったとはいえ、全部で5日間の休みを取っていたので、もう一本沢に行こうという話になりました。
我々の沢のチョイスは大西良治氏の「渓谷登攀」を参考にしており、本に書かれている沢を全部登りたいというのが目標です。
台湾の沢とか全遡行できる気はしませんが、いつかは行ってみたいものです。

私は5連休の翌日は谷川岳でガイドの仕事があるため、アプローチの長い所や不確定要素の高い所は避けたい。そもそも津南の自宅に戻るのに5時間かかるのであまり下山が遅いのも避けたい。
そこで選んだのが米沢市を流れる最上川の源流「松川」です。この沢は核心の最狭部こそ難しいものの、沢全体を見ればそれほど難易度は高くない。
何より沢の中盤に温泉宿があり、車をデポしておけば徒歩20分で車に帰れるというお手軽さです。

まずは夜明けと共に出発し、大平温泉の駐車場にダイチの車をデポ。秘境の温泉宿ということですが、観光客が来るには道が悪すぎて4WDじゃないと厳しい悪路でした。
道中美味しそうなタマゴダケを発見。帰りに収穫していこう。

車で集落まで下山し、入渓点まで徒歩5分の林道脇に駐車。
前日の下痢がまだ続いていた私は険しい顔をしながら歩いてました。
しばらく歩くと沢に到着。美しいが、何か異様さのある沢でした。
沢全体が妙に青っぽく、岩は黄白色をしている。どうやら温泉が流れ込んでいるらしく、全く生命の息吹を感じない沢でした。バクテリア1匹いそうにない。

「渓谷登攀」に載っているレベルの沢ですが、前半はまさに癒し沢。
延々と青い水のナメ滝が続き、時折出てくる釜は吸い込まれそうな水色をしています。
やはり温泉水(鉱泉水?)が含まれているようで、ここの水は飲めない。
途中で出てくる支流の水は飲めるようですが、飲料水は持って行った方がいいような気がします。

この釜とかなかなか良い眺め。上から見るとハート形をしています。

延々と続くナメ滝ときれいな窯。ここまでなら普通にガイドできるんじゃないか。

目を奪われるような景色が出てきました。20Mの滝を抱える、ひょうたん淵です。ずっと奥まで続く青い水が本当にきれい。
この20M滝は登れないようですが、本当に登れないか見てみたいと相方が言うので泳いで頑張ってもらいました。
案の定無理だったようで、冷たい水の泳ぎで沈みそうになったと言っています。
お疲れ様。

仕方ないのでセオリー通り右岸から巻きます。丁度良いルンゼがあったので登ってみましたが、途中でトラバースしたのがいけなかった。
超急斜面のブッシュを登る羽目になり、かなりキツイ。かといって滝の落ち口まではトラバースできそうにないので上へ上へと上がる事にしました。
かなり大高巻きしてしまったので、沢に向かって懸垂下降。この1回だけで、あとは歩いて降りられました。

ここからは大滝の連続。大きな窯を抱える20M滝。ここは左岸の15M滝から簡単に巻く事ができます。

三俣分岐。左岸を歩いて右岸に渡るのに丸太橋を使いました。
滑るかと思いましたが、全く滑らない。おそらく水に雑菌がいないため、苔が生えないのでしょう。凄い沢。

続いて30Mのナメ滝が待っています。大きいナメ滝っていつ見てもキレイ。水線を楽しく登れます。

ここは右岸のバンドを巻きます。下から見ても凄いが、上から見下ろしても絶景でした。

穏やかな河原を抜けると2段18Mの滝。左岸から少し巻きます。

すぐに登場するのが40Mの滝。さすがに直登は無理なので、右岸を巻いてそのまま水線の左を登ります。大丈夫だろうという事でロープ出しませんでしたが、落ちるとシャレにならない高さ。
けっこうビビりました。

次は12Mの堰堤上の滝。これも登れそうにないので、左から巻きます。
巻き途中に綺麗な水が湧き出てて助かりました。

途中で可愛いキノコを発見しました。
ニガクリダケですかね。猛毒です。

渓相が穏やかになり、明道沢との出合に着きました。
急に沢の色が変わり、明道川は赤っぽく本流は透明。この2種類が混ざっただけでどうして青白い水になるのか不思議です。

二股を抜けると本流の水は普通の沢と同じ色に。なんと小さいイワナも泳いでいました。
ここからは生物が住める環境になっているようです。

もう10月でそこそこ寒く、泳ぎたくないので左岸をクライミング。
濡れずに突破できました。

左岸に小さい水溜りがあり、緑色の水が出ていました。
どうやら天然温泉が湧いているらしく、冷えた体を温めるため浸かってみる。
30℃くらいとなんとも微妙な温度で、残念な限り。

沢が急激に細くなり、ゴルジュの奥に幾層もの滝が見えます。最狭部に到着したようです。まだ昼前なので、時間はたっぷりあります。
ゴルジュを巻く理由はないので突破。これをやる為に来ました。

まずはダイチがF1を左岸からクライム。脆い岩を慎重に登ります。
終了点から滝まで歩き、F2は低いので問題なく登れました。

続いてF3。泳いで正面突破を試みましたが、ツルツルな上に水圧が凄く這い上がれない。
右壁に残置ハーケンがあったので、スリングで振り子ジャンプと同時に引き抜く作戦で行きました。
思ったより簡単に突破。

F4に向かって泳ぎます。早くも出口が見えてきました。思ったより短い。
水は冷たいですが、突破できそうな最狭部ゴルジュにテンションぶち上がり。
叫びながら泳げば寒くありません。というかこのゴルジュを突破できれば温泉が待ってるので怖いものなしです。

右壁にクラックが2本あり、カムもハーケンもばっちり効く。
ただ思った以上に被った斜面で、なかなか突破できない。
スカイフックにアブミをかけ、頭上のリスにハーケンを叩き込んで突破。
なんかもう普通に面白い登攀ができている。

次のF5は被った滝だったが、2M程度と低い。私が踏み台になり、ショルダーで突破します。
「武藤さん、行くよ!」「オッシャァ!持ち上げたる!来いやぁ!」
目の前に出口が見えるからか、テンションは最高潮。
次のF6は何の苦労もなく突破できました。

景色が開けたと思ったら、目の前に吊り橋。こんなアッサリ突破できるとは思いませんでした。戦々恐々としていた最狭部でしたが、難しいというより普通に楽しいゴルジュでした。
梅花皮沢を突破した後なので、色々可笑しくなっていたのかもしれません。
温泉は下界で入る事とし、本日は一度撤退。
明日登攀予定の火焔(ひのほえの)滝を見学し、下山しました。

後半へ続く


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