内ノ倉沢七滝沢

飯豊連峰の南にある、内ノ倉沢の七滝沢を遡行しました。この夏は色々と忙しく、9月頭になってようやく行きたい沢に行けた感じです。ただ平日な上にガイド仲間は全員忙しく、相方が見つからずに単独遡行になっちゃいました😢

直前までどこに行くか悩みましたが、あまり沢に行ってない今年の鈍り具合から考えて4級以上の単独遡行はアウト。ガイドブックを見る限りだと七滝沢なら3級上ということなので行く事にしました。さらに難しいと言われる本流は去年遡行したので、ちょっと気が楽です(沢のグレードなんて当てになりませんが…

9月3日
新潟県唯一のゲレンデと言われる杉滝岩。内ノ倉ダムの周りをグルっと回り、ここからスタート。ヤブ化した林道を30分程歩くと右岸に支流が出てくる。ここが七滝沢の出合である。

なんか思ったより細い支流で、本当にこの先に大滝があるのかと思う。しばらくゴーロ歩きで、かなり長い。ルートファインディングが重要だが、こういうのは得意。途中で2段5M滝が出てきたので泳いでみる。真夏なので快適。

ゴーロが終わると滝がポンポン出現し、急に水量が増した。10Mの斜瀑がかかるが水量が多く正面突破はできなかった。というより単独なので無理はできず、大人しく右岸から巻く。10Mという事だが、見下ろすともっと高いように思えた。落ち口付近も悪いトラバースで緊張する。

急に景色が開け、この沢の名前でもある100Mの七滝が現れた。写真で見るよりずっと大きく、そして美しい。近寄ってみると思ったより斜めっているがやはり大きく、荷上げが大変なのでザックを背負ったまま登ってみる。2段目がけっこう悪く、落ちるとシャレにならないが渾身のムーブでトラバース。緊張の一瞬だった。
上部は30Mと40Mの大滝が二段構えになっており、とてもじゃないが登れない。左岸の草付から這い上がり、ヤブ尾根を登ることにした。チラチラと左を見ながら登ってると、尾根が切れる頃に踏み跡を見つけた。

再びゴーロを少し歩くと、また連瀑帯となった。2つ目のハイライト、7段130Mの大滝だ。さっきの100Mも凄かったが、こちらは更に凄い。この狭い山域にこれ程の連瀑がある事に感動すら覚える。
1段目、2段目をサクサク登り、どう考えても登れない3段目の前に出る。

スダレ状に落ちる水が美しい。右岸に踏み跡を発見したので巻く。一度沢床に降りようかと思ったが、そのまま続いていたので滝を眺めながら右岸を登った。
7段目はヌメヌメして登りにくいが、問題なかった。

連瀑を超えると更に60Mの滝が出てくる。60Mと言えど傾斜は緩く、癒しの滝である。かなり飛ばしたので、少し休憩することにした。
今回誰とも予定が合わず少し寂しいが、独り沢は決して悪いものではない。ハイキングをしていた頃から一人で歩くのが好きだったし、沢を始めてからも常に先頭ということも多い。先頭を歩くと自分でルーファイする楽しみができるし、イワナがいれば真っ先に発見できる。
沢においては特等席なのだ。それを独り占めである。悪い訳がない。

次から次へと滝が登場し、大水量の20M滝が現れた。泳げば左壁から登れそうな気もするが、下部がどう見ても悪い。遡行図には右岸のルンゼから巻くと書いてあるので、そのように巻いてみる。
普通にロープ案件のズルズルスラブを登り、滝と同じ20Mくらいまで登った所でトラバース。
が、絶妙に悪い。現在地と滝までの間にルンゼがもう一本挟まれており、木どころか草も生えてない。足場も悪く、落ちると20M滑落する光景が目に浮かぶ。
4M程向こうに丈夫そうな灌木があるが、どうしても届かない。

そこで奇策発動。連結したスリングの先にハンマーをくくりつけ、慣性をつけて投げる。スリングが灌木に巻き付いた瞬間に手元を回し、絡ませる。名付けてインディジョーンズ作戦。
しかしコレがなかなか上手くいかない。スリングが巻き付いても、引けば取れる。当たり前と言えば当たり前なのだが、足元も悪いので踏み出すのも怖い。
5回目でようやく成功し、何とか落ち口に着いた。今の巻きだけでかなり疲れた気がする。

突然沢は穏やかとなり、テン場にできそうなポイントが次から次へと出てくる。途中、小ゴルジュを超えたところで竿を出してみると25cmくらいのイワナが釣れた。まだ13時で活性は低いはずなのだが、入渓者が少なくスレてないのだろう。簡単に釣れた。
その先にヒョングリ滝6Mが見えたが、ここでビバークすることにした。
恐らくこの先は再度連瀑になり、テン場があるかも分からない。まだ14時だが独りなのでタープの設営や火起こし、釣りを楽しむとなると時間が欲しい。
何よりこの先あまり難所がないので明日余裕があるのも良い。

ベースを作った後、上流のゴルジュに毛鉤を投げてみた。まだ昼間なので活性は低く、毛鉤を流して釣れるとは思えない。ならば毛鉤で水面を叩きまくり、魚をヤル気にさせる戦法が有効だ。こういう深みはテンカラは苦手だが、それも腕次第というところ(テンカラ2年目)
突然、根掛かりのような引きがあった。しまった、と思ったが釣れていた。かなりの大物らしく、竿がたわむ。こういう時無理に引くと竿が折れるので、しばらく泳がせる。

イワナが疲れたところで一気に引き上げる。
尺イワナ。それも43cmという大物だ。自己最高記録のイワナにテンションが上がる。この大きさになるまで何年かかったろう。ありがたく頂戴することにした。

途中で頭上の木に毛鉤を引っ掛け、紛失してしまった。2個しか毛鉤を持っていなかったので、あと1個。まだ2匹しか釣れていないが、43cmの大物がいるので十分だろう。異様に湿った薪で焚き火を起こし、どちらも塩焼きにしてみた。
この日の食料は米3合に、ベーコン、ウィンナー、みそ汁、そしてイワナの塩焼きと豪華である。
単独遡行は1人当たりの荷物が重くなるので軽量化が必須だが、快適な夜を過ごしたかった私は大量の食料を持ってきてしまった。登攀中、やけに荷物が重いと思ったが、当たり前である。

9月4日
夜中に少し雨が降ったが、翌朝には晴れてくれた。昨日のイワナで出汁を取り、みそ汁に入れる。美味い。朝から焚き火に当たり、良い朝を迎えることができた。体が温まったところで、昨日大物を釣り上げたゴルジュを泳ぐ。朝一の寒中水泳で、温まった体はすぐに冷えた。

ヒョングリ滝を過ぎると朝7時。イワナ達も朝食時であり、一日で一番活性が高い。竿を出してみると20cm程のイワナが数匹、アッサリと釣れた。
今日下山するし、貴重なイワナを下界に持ち帰って食べる趣味はない。ここはリリースすることにした。遊んでくれてありがとう。

しばらくはナメが続き、難所と呼べるところは何もない。昨日の連瀑帯で一気に高度を上げたからか、穏やかな渓相になった。これならもう少し先でビバークしても良かったかと思う。次々登場する癒しの滝と釜。上流部も水量はそこそこ多く、イワナ達が優雅に泳いでいた。
途中15M滝などがあったが、天気も良く食料も十分。余裕のある山行は本当に楽しい。

なんと人工物を発見。どうやら古い導水管らしい。現在も使われているようだが、一体誰がこんな所まで整備しに来るのだろう。
下山路の尾根に続いているようだが、そもそもどうやって工事したのだろうか。昔の人は凄い。


詰めると水量は少なくなったが、そこそこ人気の沢だからだろう。分岐にはケルンが置かれており、サービス満点だ。

新潟の沢は最後は強烈なヤブ漕ぎというパターンが多いが、この沢はほぼ最後まで水流が続き、快適に登山道に出ることができた。

山頂に到着すると、登山者が数人。写真を撮ってもらった。
山頂の二王子岳は新潟市から近く、快適な避難小屋がある人気の山である。何より眺めがいい。
北アルプスのような3000Mの岩山は美しいが、奥深い飯豊連峰も美しい。何気ない山なのに、あんな大滝が連続するのは豪雪地帯ならではの恩恵だろう。
景色を眺めながらコーヒーを淹れ、ゆっくり下山することにした。

下山中、カモシカの親子に遭遇。普通のカモシカより白く、神々しさを感じる。子供も白かったので遺伝なのだろう。良い事が起きそうな気がした。

2時間半程で下山。さすがに標高を落とすと暑く、デポした自転車で内ノ倉ダムまで戻るので体を冷やすことにした。
この二王子神社は滝を祀っているらしく、もしかすると登ってきた七滝沢は神聖なものなのかもしれない。
本当に美しい沢だった。

1時間程自転車を漕ぎ、車を回収。ダムの周回路を自転車で走るのも気持ちいいものである。


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