沢始め、南ノ入沢左俣

天気がいいので今シーズン初の沢登りに行ってきました。
行先は先週のガイドで古峰山から見えた南ノ入沢。下山は昭和初期まで巻機山の登山道として使われていた旧登山道を使うことにした。
あの深田久弥も「日本百名山紀行」に載せるために歩いた由緒正しい道である。70年前の話だが。

土曜なので誰か誘えばよかったと思いつつも、久々に1人で歩きたかったので単独沢。
軽トラに荷物を乗せ、さぁ出発。
5時に家を出るぞなんて言っていたが、結局7時。単独あるあるだ。

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ゆっくり車を走らせ、9時に登山道到着。巻機山は今頃、多くの登山者で賑わっている頃だろう。こちらの古峰山登山口には一台も停まっていない。
先週歩いたばかりの林道を馬止めまで登る。

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南ノ入沢に到着。少々薮っぽいが、登山道の渡渉点。まだ6月だし、水に入るとさすがに冷たかった。倒木をかき分けながらヌメる沢を遡上。至る所で小さいイワナが顔を出していた。

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最初のナメ滝。丸太橋を渡って取り付く。
予想はしていたが、陽当りのいい沢なのでとにかくヌメる。
沢靴の感覚が全く身に染みていないので歩きにくく、細かいホールドに立ちこむ筋肉もできていない。運動不足を感じた。

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二段目。右を登れそうだが、水に濡れた黒いコケが怪しく光る。
ここはド真ん中のポケットを使って登ることにした。
一見乾いているのに靴の水分がついた瞬間に滑り始める嫌らしさ。ホールドまで5cm足りなかったので、意を決してデッド。

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次の3段30M滝。とりあえず下部は水線左を登り中段に立つが、どう見ても危険極まりない。さっきのヌメり具合から考えたら無理は禁物。右岸から巻く。

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間髪入れずに次の滝。
凄まじい角度とヌメりで全く登れる気がしない。これも左岸巻き。

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何故この沢の滝はこうも真っ黒なのだろうか。どこを見てもヌメる気配しかしない。
隣の金山沢は最初はヌメるものの快適な大スラブだったが、こちらは緩急つけながら「急」のパートがかなりキツイ。
巻き気味に左岸の草付から登る。ここから大高巻きとなった。

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先程の滝から左をチラッと覗く。傾斜が凄まじい事になっており、相変わらずのヌメりっぷり。左岸なので奥の水線にたどり着きたいが、下手にトラバースすると死ぬ。
さて、どうしたものか。

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とりあえず左岸の薮をモリモリ上がる。
こちらは傾斜が緩いので歩きやすいが、ブッシュも少なくなってきてけっこう怖い。
行けそうかと思っていたが、目の前に垂直の花崗岩が登場。小川山にあれば人気のルートになりそうだ。
岩の隙間にウツギとシャクナゲが生えていたので、ここから突破。傾斜がやばい。

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左岸側に枯れた滝が出てきたあたりでトラバース。
ありがたい事に岩は乾いており、歩きやすい。再度薮に入って歩けそうなバンドを探してひたすらルーファイ。

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ようやく本流の水線に合流できた。
木に古いスリングが巻かれており、誰かが確保した痕跡がある。ルート取りはほぼ正解だったようだ。

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ここから先は傾斜が緩くなるっぽい。
10M前後の滝を快適に登るが、水が冷たくなった。
分かりやすいタイミングで残雪が登場。

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最近まで雪が残っていたからか、稜線では全滅したシラネアオイは見頃を迎えていた。
今年は何回、この花に出会っただろうか。

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逆に今季初対面となるキヌガサソウ。再来週ガイド予定の火打山でも見頃を迎えているだろうか。
シラネアオイとはまた違った美しさがある。

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ここにきて大きな残雪を発見。なんと初春の花、フキノトウが咲いている。
ギリギリ入れそうだったので崩れないことを祈りながら下を潜るが、出口が狭かった。
戻って上を歩く。

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雪渓が一度崩れたのち、傾斜が強まった。
さすがにツボ足では厳しいのでチェンスパを履く。間違えて先割れしてない靴下を持ってきたため、食い込んで辛い。

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強傾斜の雪渓を登る。
雪が見事なザラメになっており、チェンスパもあまり効いてる気がしない。
滑落はしたくないので左のブッシュを掴みながら力づくで登る。
振り返ると金城山の猛々しい山頂が見えた。

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ついに沢状地形が終わり、ヤブに突入。さっきの雪渓が終わった所にチェンスパを落としたため、一回戻る。
戻る途中、熊のウ〇コを踏んでいることに気が付いた。よく見たら周りはウ〇コだらけである。
旧登山道を目指して薮を漕ぐが、全く同じルート取りでクマさんの痕跡がある。しかも徐々に新鮮になるウ〇コ。近くに齧ったばかりのタケノコも落ちていた。

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熊に出会うこともなく、旧登山道(と思われるヤブ)に到着。巻機山や割引山の山頂や、金山沢が見える。金山沢はかなり雪が残っているようだ。さすがにシーズンには早い。
ここで雲行きが怪しくなり、雨が降り始めた。今日は晴れ予報だったが、梅雨入りした山は天気が変わりやすい。
かなりの土砂降りとなったが、もともと濡れているのであまり関係ない。むしろ涼しくなるし、虫も減るからありがたい。

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GPSを頼りに尾根を歩くが、本当に分かりにくい。
これで見晴らしがよければ余裕なのだが、薮が自分の身長より遥かに高く、全く視界が取れなかった。
登山道と思われるところは木が少なく腰ぐらいの笹になっているが、そのまま辿るとただの水流跡だったりして金山沢に引き込まれそうになる。
とりあえずヨウラクツツジが綺麗だが、そんなことを言っている場合ではない。

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久々に人工物を発見。足元にピンテが落ちていた。
ニッチな沢屋が残したのか、はてまた深田久弥のファンなのか。年に片手で数える程度の人間は入っているのだろう。

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1時間ほど降りると登山道らしき窪みがあったので辿ってみることに。待ちに待った歩きやすい道に心が躍る。これでもう藪漕ぎをしなくていい。
登山道の途中に泥道があった。モリアオガエルが卵を産んでいたがちょっと通らせてもらう。足は汚れるが、浅そうなのでそのまま歩く。
と、油断していると首まで埋まった。どうやら底なし沼だったらしく、危うく死にかける。
必死で這い上がるが、もう濡れる事がないだろうと思っていた装備は汚水だらけになった。

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長い長いヤブ漕ぎを終えて後ろを振り返る。
シーズン初めからこの藪漕ぎはなかなかキツイものがあった。

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見慣れた登山道に合流。これを右に下る。
トラロープもついているので、今までに比べたらなんて事はない。

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姥沢林道のボルダー前。
あれ?草刈りされたのかな?行きは確かヤブだった。地元のご厚意で整備してくれている。ありがとうございます。

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車に到着。
まずは全裸になり、泥沼で臭くなった体と装備を全部洗う。
ついでに雪解け水でコーラを冷やし、もう完璧。
当然、温泉にも行くのだが。

夕食は美味しいと噂の「ますみ食堂」で足りないエネルギーを補給。入口にウルトラマンっぽい人が立っている。

濃い味の焼肉定食が体に染みた。
お疲れさまでした。


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