能生川イカズ谷

9月頭、まだまだ暑い季節。ガイド仲間のピカリンと沢登りに行ってきました。
今回選んだのは能生川の支流、イカズ谷。

百名山、火打山を含む頚城山塊は南面こそハイキングで有名な場所ですが、北面は険しい谷と脆い岩に囲まれており登山道などはほぼありません。

昨年ダイチと一緒に遡行した滝ノ内沢もその一つ。(もともと能生川の予定だったが大増水により変更)
ピカリンは冬に滑走することを念頭に置いているらしく、とりあえず夏に遡行しようという事になりました。とてもクレイジーです。

日帰りでも行ける沢ですが、のんびり用意したかったので昼集合。
食料の買い出しをしてからピカリンおすすめの特盛ラーメンを食し、入山。

まずはシャルマン火打の近く、閉鎖された県道246号を歩きます。
この辺りは糸魚川ジオパークに指定されており、フォッサマグナを抱える糸魚川の地層がよく分かります。

ダムの管理会社かな?途中で車数台とすれ違いました。
第二ゲートから先は崩れており、ヤブヤブ。人が歩いた形跡も薄い。

1時間ほど灼熱の道を歩くと、西飛山ダムに到着しました。このダムに関しては色々な情報があります。
下流の集落への水害予防を目的として作られたとか、黒部ダムのような観光地を目指したが失敗したとか。何にせよ現在は機能のほとんどを失っており、貯水などは行っていないようです。外灯も壊れ、手すりはグラつく。

ダムの端に階段があるので、そこから降りてダム湖にベースを張ります。
沢といえば焚火。枯れたダム湖なので燃やせる流木は大量にありました。年に数パーティしか入らないのもあるでしょう。
スーパーで買ったデリでお肉祭り。酒盛りもして贅沢三昧です。日が暮れると大量の蚊が襲撃してきたので、テントに逃げ込む。

翌朝4:30。出発して5分で熊に遭遇しました。
この熊さん、前日も雪渓の前で涼んでいたそうです。お邪魔してごめんね。
崩壊した堰堤を右から巻き、平凡な河原ひたすらを歩く。

30分ほどでフヨ谷との分岐に着きました。特に難所もない上に、相方の足がマジで速い。
上流の雪渓が融けているせいか、絶えず泥水が流れています。なんか温泉臭いし、とても飲む気にはならない。
ここで左俣へ。

分岐から間もなく巨大なスノーブリッジが現れます。最近一部が崩壊した跡があり、ブリッジにも亀裂が入っていつ崩れるか分かりません。
触ってみると雪というより氷。喰らうと確実にミンチになります。
とりあえず一人ずつ通りますが、生きた心地がしない。

慎重に雪渓を潜り、よし、抜けた!と思ったらもう一つ。更にもう一つ。
タイミングがちょっとズレるだけで死ぬようなトラップがそこかしこに用意されています。潜る時は一人ずつ、そして速やかに。

崩壊した雪渓の上を歩きますが、これも危ない。
下を水が流れてるので随所が薄くなっており、落ちて呑まれるとこれもアウトです。感覚的に薄い所は分かりますが、雪渓から降りる所で崩れて滑落。
受け身を取って大事には至らず。

雪渓を5つほど抜けると目の前に10M程の滝が登場しました。(雪渓を除くと)最初の難所と言える「イカズの門」です。
その名の通り被った岩に囲まれた門のようになっており、ゴルジュの中でもあるので威圧感が凄い。何より滝の上に崩落した雪渓が乗っており、これえが更にヤバく見える。
過去の記録によると右岸から高巻いている人もいるそうですが、そちらの方が危なそう。
登れるか分からないけど、とりあえず取り付いてみます。

右壁から登ってみる。
けっこう脆いけどガバが多く、意外と何とかなりそう。が、落ち口はマジで被っており、重い荷物もあってか一筋縄ではいかない。
そこで試しに水流に足を突っ込む。意外と押されることはなく、滝裏のガバに手が届いた。荷物背負ってフリー突破。我ながらなかなか。
その後ピカリンもフリーで突破。

難所が終わったーと思ったらまた雪渓。今度はクラックも入っておらず、さっきまでのと比べると安心できる。

これだけ雪があるのに水温はそんなに低くない。というか温すぎる。
どうやら温泉が出ているらしく、所どころ赤い。
難所と呼べる所はない優しいゴルジュを抜けると、大滝が現れました。

イカズ谷大滝です。推定50M。過去の記録を見ると誰にも登られていないそうです。
下から見ると確かに大きいけど意外と傾斜は緩く、ホールドも豊富。本当に誰も登ってないのか疑いたくなりますが、そもそもイカズ谷自体の記録が少ないのでそんなものでしょう。
登るつもりはなかったけど…..ロープ(30Mが2本)もあるし、カムも持ってきた。折角なので登ってみよう。欲が出ました。

1P 武藤 25M Ⅳ
フリクションやカムの効きは抜群。登ってて普通に楽しい。最後は水流を浴びながら左へ。

2P ピカリン 25M Ⅳ
左のチムニーを登る。カムやハーケンは問題なく効くが、上に行けば行くほどヌメる。最後の水壁はやや左にトラバース。

3P 武藤 20M Ⅲ
左の被ったブッシュを登る。かなり滑るが木登りなので問題なし。最初は水流を右上し滝の直登を図ったが、ヌメる上に被っており、しかも脆い。かけたカム2つも落下。死ぬ気しかしないのでやめた。

ブッシュを漕いで滝の上に出ました。
いままで圧迫感のあるゴルジュだったのに太陽が当たり、急に平和な雰囲気の沢に変貌。
この後は小さめの滝は出てきますがスノーブリッジが来る気配もないので一安心。二股で休憩。

さぁ、あとはコルまで詰めあがるのみ。
命の危険があるような難所はないですが、太陽が当たるせいかヌメりが強くなってきました。泳いだ上にホールドが少ないスラブや、10M程度の小滝はちょいちょい登場。
とはいえ下部に比べると余裕があります。記録と比べると遡行スピードもかなり早く、時間も十分。ワイワイしながら登ります。

沢が狭まってきましたがそれでも水は流れ続ける。
イカズ谷は稜線までほぼ沢状地形が守られており、曲がるところを間違えなければ飲み水も心配なし。
凄まじい歩行速度のピカリンに必死でついていく39歳。

息も切れ切れでコルに着きました。これでもかと分かりやすい平地の藪。
ここから適当に藪を漕いで沢に降りるとタジマ川に入ります。
降りれば降りるほど水量は増えていき、イカズ谷とは違って雪渓もありません。

延々と歩いて小さい滝を2つクライムダウンで降りるとタジマ川大滝が登場。この滝、30Mなので我々のロープだとギリギリです。
シャワーを浴びながら懸垂下降。少しハングしてるので空中懸垂になりました。
こんな平凡な沢ですが、なかなか迫力あります。懸垂は全部で2か所でしたが、シビアなクライムダウンもあるので注意が必要。

相変わらずとんでもないスピードで歩く相方にヒーヒー言いながらついていく。
沢では早い方だと自負していたが、とんでもない。上には上がいるもんだ。鍛え直す必要があります。

テン場に到着。
日没ギリギリなんて記録もありましたが、なんと13:30。とんでもない早さです。さすがに疲れた…..
広々とした河原でコーヒーを淹れて一服していると、予報通り黒い雨雲が接近。瞬く間に土砂降りとなりました。早く降りてきてよかった。

そして帰りも県道を歩いて1時間。スコールで全身ずぶ濡れになりましたが、もう車に帰って温泉に入るだけです。レインウェアを着るのも面倒くさい。

それにしても良い沢でした。平和な渓相と危険な難所が交互に訪れ、メリハリがある。
雪渓処理は確かに怖いけど、越後の沢に慣れるとこれ位のスパイスは要るんじゃないかと思いました。
次はどこに行こう。楽しみです。


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